このような疑問にクロス取引歴5年目の主婦が実体験をもとに解説していきます。
一定期間、現物株式を保有していれば確実にもらえる長期保有優待ですが、クロス取引ではどうなるのでしょうか? できることならクロス取引でも欲しいですよね!
結論から言うと、条件を満たせばクロス取引でも長期保有優待をもらえます。
本記事では、クロス取引で長期保有優待を獲得する方法について具体的に解説していきたいと思います。
長期保有優待の種類
まず、ここでは株式の継続保有を条件に贈呈される優待のことを「長期保有優待」と呼んでいます。
長期保有優待には次の2パターンあります。
- 継続保有制限なし:初回のクロス取引から優待をもらえる。さらに一定期間継続保有すると通常の優待内容に長期保有特典が付く。
- 継続保有制限あり:一定期間、株式を継続保有して初めて優待がもらえる。初回取引から優待をもらうことはできない。
長期保有優待をもらうための条件
長期保有優待をもらう上で最も重要なのは「株主番号」。
基本的に株主番号を元に継続保有年数を判定するので、同じ株主番号で株主名簿に記録され続けるというのが大前提です。
次に株主番号のほかに長期保有優待をもらうために押さえておきたい条件を説明していきます。
継続保有制限のない銘柄
継続保有制限がない場合は、初回の権利確定日から優待がもらえます。そして株式の保有年数に応じて優待内容が増額・グレードアップされます。せっかく優待取得するなら長期保有優待も一緒にゲットしたいですよね。
継続保有制限がない銘柄で長期保有優待をもらうために、次の3つのポイントは要チェックです。
- 優待は年何回?
- 継続保有判定されるには、年に何回株主名簿に記載されるべき?
- 株主名簿への記載は何株以上が必要?端株でもOK?
優待月が年2回の場合は、途切れずにクロス取引を続けていれば長期保有優待が付くケースがほとんどです。
優待月は年1回でも、継続保有条件を満たすには年2回株主名簿への記録が必要なケースが案外多いんです。
100株の記録が必要なら空クロスが必要ですし、単に記録のみされていればOKなら端株で乗り切れることが多いです。
このへんのルールも企業により異なるので、企業サイトで優待制度の内容を確認してくださいね。
まれに基準日ではなく任意の日に保有状況を確認する会社(例:サイゼリヤ(7581)、USEN-NEXT HOLDINGS(9418)など)もあります。
継続保有制限がある銘柄
株主優待の贈呈条件に継続保有年数が定められている場合、決まった期間以上、株式を保有していないと優待がもらえません。
継続保有年数は、決められた基準日の株主名簿の記載にもとづき判定される場合がほとんどなので、該当の基準日を狙って途切れずにクロスすれば十分継続条件を満たせます。
そこでポイントとなるのは、「継続保有しなければいけない株数はいくらなのか?」。
このあたりの条件は各社異なるので、企業のIRページなどから確認してみてくださいね。
そしてその優待企業の方針に従い、端株を保有するか、継続保有すべき最小限の株数を所定回数、連続クロスすると長期保有優待がもらえるはずです。
端株で継続保有条件を満たせる銘柄: オートバックス(9832)、新東工業(6339)など
クロス取引するたび株主番号は変わる?
これは正直やってみないことにはわかりません。株主番号の付与ルールは企業ごとに異なるからです。
ただ5年以上クロス取引をして感じているのは、半年ごとにクロス取引をしていれば継続保有とみなされてきたケースが多いということです。半年ごとに保有チェックしている企業なら年2回の基準日の株主名簿に保有記録があれば株主番号が変わらないのかもしれません。
株式をすべて売却すると株主番号が変わると言われたりもしますが、わたしの経験上は基準日を起点として半年毎の株主名簿に毎回記録されれば株主番号が変わらないことが多かったです。
とはいえ、もちろん例外もあり、半年に1回のクロスで株主番号が変わった銘柄もあります。四半期ごとに保有チェックをしていたからでしょうか?理由はわかりません。株主番号の決め方は企業サイトで公表されていないことが多いので謎に包まれたままです。
半年に1回のクロスで株主番号が変わった銘柄:コスモス薬品(3349)、GMOインターネット(9449)など
クロス取引で長期保有優待をもらう攻略法
権利確定日にクロス取引を欠かさない
優待月が年1回でも2回でも、権利確定日には原則クロス取引を忘れずに。権利確定日にクロスし続けることが継続保有期間を伸ばすのにマストです。
端株で継続保有判定を満たせるパターン
これは次のような優待企業を指します。
- 年1回、優待を実施
- 年1回、優待月に株主名簿への記録が必要
なお、年に1回クロス取引をするだけだと株主番号が変わる可能性が高いので、株主番号をキープするために端株を持っておく必要があります。
それでは、エディオン(2730)を具体例にして見ていきましょう。
- 株主優待は毎年3月の年1回実施
- 1年以上の継続保有で長期保有優待がつく
- 継続保有の条件は「3月31日の株主名簿に、同一株主番号で連続2回以上、100株以上が記録されていること」
実際の長期保有優待をもらうまでの流れは次の通りです。
時期 | 取引内容 | 優待内容 |
2023年3月基準日 | 100株クロス 端株を購入 |
ギフトカード3,000円分 |
2024年3月基準日 | 100株クロス | 《継続保有1年達成》 ギフトカード4,000円分 |
また、別のケースとして次のような優待企業もあります。
- 年1回、優待を実施
- 年2回、株主名簿への記録が必要
- 非優待月の株主名簿への記録は株数問わない=端株でOK
今度は上記ケースの代表として日本取引所グループ(8697)を例に見てみましょう。
- 株主優待は毎年3月の年1回実施
- 1年以上、2年以上、3年以上と継続保有年数に応じた長期保有優待がつく
- 継続保有の条件は「3月31日および9月30日の株主名簿に、同一株主番号で連続3回以上、記録されていること」
- 9月30日の株主名簿に記録される株数は端株でOK
長期保有優待をもらうまでの流れは以下の通りです。
時期 | 取引内容 | 優待内容 |
2022年3月基準日 | 100株クロス 端株を購入 |
クオカード1,000円 |
2022年9月基準日 | 端株があるので取引不要 | ― |
2023年3月基準日 | 100株クロス | 《継続保有1年達成》 クオカード2,000円 |
2023年9月基準日 | 端株があるので取引不要 | ― |
2024年3月基準日 | 100株クロス | 《継続保有2年達成》 クオカード3,000円 |
2024年9月基準日 | 端株があるので取引不要 | ― |
2025年3月基準日 | 100株クロス | 《継続保有3年達成》 クオカード4,000円 |
9月は端株の保有が記録されればよいので特に何もしなくてもOKです。
端株で継続保有判定を満たせる銘柄:オートバックス(9832)、エディオン(2730)、ヨロズ(7294)、日本取引所グループ(8697)、フジシールインターナショナル(7864)、シュッピン(3179)、三菱ロジネクスト(7105)など
空クロスが必要なパターン
これはつまり、優待がもらえない月も株主名簿に100株以上の記録が必要なパターンです。
まとめると次のような優待企業のケースです。
- 年1回、優待を実施
- 年2回、株主名簿への記録が必要
- 非優待月の株主名簿にも100株以上の記録が必要
代表として、アダストリア(2685)を例にを見ていきましょう。
- 株主優待は毎年2月の年1回実施
- 2年以上の継続保有で長期保有優待がつく
- 継続保有の条件は「2月末日および8月31日の株主名簿に、同一株主番号で連続5回以上、100株以上が記録されていること」
長期保有優待をもらえるまでのプロセスはこちらです。
時期 | 取引内容 | 優待内容 |
2022年2月基準日 | 100株クロス | 優待券3,000円 |
2022年8月基準日 | 100株空クロス | ― |
2023年2月基準日 | 100株クロス | 優待券3,000円 |
2023年8月基準日 | 100株空クロス | ― |
2024年2月基準日 | 100株クロス | 《継続保有2年達成》 優待券5,000円 |
こちらは、たとえば次のような優待企業を指します。
- 継続保有制限あり
- 年2回、株主名簿への記録が必要
- 優待がもらえない月の株主名簿にも100株以上の記録が必要
今度はAVANTIA(8904)を例に、長期保有優待をもらう流れを見てみましょう。
- 株主優待は毎年8月の年1回実施
- 1年以上の継続保有で長期保有優待がもらえる
- 継続保有の条件は「2月末日および8月31日の株主名簿に、同一株主番号で連続3回以上、100株以上が記録されていること」
実際に株主優待をもらえるまでの流れは以下の通りです。
時期 | 取引内容 | 優待内容 |
2022年8月基準日 | 100株空クロス | ― |
2023年2月基準日 | 100株空クロス | ― |
2023年8月基準日 | 100株空クロス | 《継続保有1年達成》 クオカード1,000円 |
上記のケースでは、端株で継続保有判定を満たせないので、100株空クロスをする必要があります。
優待がもらえないのに100株分の資金が拘束されるのは痛いですが、高利回りの銘柄なら空クロスしてでも長期保有優待を狙う価値はあると思います。
空クロスで継続保有判定を満たせる銘柄:アダストリア(2685)、JR九州(9142)、JR西日本(9021)、ヤマザワ(9993)、AVANTIA(8904)、マニー(7730)など
端株で株主番号の変更を防ぐ
クロス取引だけでは株主番号の同一性が維持できるのか100%保証はできません。すべての現物株式をいったん現渡してしまったら、次の取引でどんな株主番号が割り当てられるか確かでないからです。
でも、1株でも端株を保有していれば、株主番号が変わることはありません。そのため、確実に同じ株主番号でいたい方はクロス取引の際、保険として端株を購入することをおすすめします。
まとめ
クロス取引を続けるからには長期保有優待も狙っていきたいところですよね。まずはその企業サイトで継続保有の条件を確認することが重要です!
そして、大事な株主番号の同一性についてですが、わたしの過去の取引では半年ごとのクロス取引では株主番号が変わってしまったケースもありました。クロス取引と同時に念のため端株を購入しておくと株主番号が変わらないので安心ですよ。